久しぶりに漫画発掘をしました。面白くもあるのですが、とても考えさせられる内容でした。
【ここは今から倫理です。】という漫画です。
この漫画のテーマはタイトル通り【倫理】なのですが、倫理ってよく分からない。道徳?哲学?なんとなく正しいこと=倫理といった感じでしょうか。
倫理は、「道徳」や「モラル」と言い換えることができ、簡単にいうと「人として守るべき行いや道のこと」を意味します。また本来は倫理学そのものを指す言葉でもあります。
「倫」は仲間や人の輪のことを指し、「理」はことわりや筋道のことを指します。
社会を生きる上で一人一人が正しい行いをするための考え方、規範を倫理と呼びます。
倫理学とはそうした道徳的なことをより深く理解し、考えていこうという哲学の一つです。
一見すると難しそうに感じますが、人間関係や社会生活を送る上で疑問や悩みが生まれ、それについて考えることも、倫理を学んでいるといえるため、実は多くの人にって倫理学は身近なものなのです。意味解説ノート:「倫理」とは?意味や使い方をわかりやすく解説!より
道徳や哲学も倫理の中の一つという解釈でいいのか。間違っていたらすみません。結構ふわっとしてるな倫理(笑)
そんな珍しいテーマの漫画です。
これは絶対ドラマ化されると思います。
内容がドラマにしやすいですし、是非ドラマでみてみたいですね。
※以下ネタバレあり
ここは今から倫理です。
本作は、主人公の倫理教師高柳が高校3年という人生の岐路に立たされ様々な悩みを持つ生徒と倫理を用いて導いていくというお話。
各話に出てくる生徒たちは、3年の選択授業で倫理を選んだ、人気の体育の抽選に漏れしぶしぶ倫理になった、先輩から楽だと聞いたからなど理由は様々です。
多感な生徒たちとの話をオムニバス形式で描いています。
高柳先生

先生が主人公の漫画は数多くあると思いますが、高柳はよくある熱血タイプの教師ではなく、すごく淡々としていてパッと見るとドライな性格のように感じます。しかし突発的なことに対して身を挺し生徒を守る1面も持っています。
そして決して強要をしないのです。本質的なことにヒントや選択肢を与えてはくれるのですが答えは教えてくれません。教えてくれないというよりは高柳にもわからないといったほうがしっくりくるのかもしれません。
当然間違えることもあり、高柳自身悩みます。キャラクターとして完全でないところが魅力的だと感じました。
オムニバス形式で正しいとは何かを問う。
来月の新刊が楽しみなので『ここは今から論理です。』紹介。問題を抱えた生徒と対話する高校の倫理教師を描いた作品。キャラクタ、物語、画面、という漫画の主要構成要素それぞれアクが強いが熱量が込められていて素晴らしい。画像は1巻より数ページ引用。皆、読みましょう。https://t.co/h1iiE7K8Fz pic.twitter.com/07qWHqFnYD
— さつま (@satsuma0122) May 11, 2018
1人1人にストーリーがあり何となしに全体が繋がっているという形ですので正直すごく共感できる話もあれば、実際経験していないと想像できない話もあります。
ただすべての話に倫理という漠然としたものを分かりやすく埋め込んでくれているので納得がいくのでしょう。
正しいことの正解をくれるのではなく、正しいとは何なのかを問われているようなそんな漫画です。
個人的に2巻の#8普通の人間や#9本当の私はすごく共感できました。
3巻の#14主義探しは逆に考えさせられました。今まで深く考えたことや疑問すら持っていなかったことに気付かされたのです。
#8普通の人=現状に大した悩みがないが特別でもない生徒の話
#9本当の私=SNSにハマる女子高生の話
#14主義探し=社会主義、資本主義をクラスに当てはめた話
4巻を読んだ感想 2020/7/9追記
気が付いたら4巻が出ていました。
4巻の見どころは個人的には断然#17マン・イン・ザ・ミラーですね。
ある生徒がクラスのグループラインを抜けたことによりいじめ(無視される)を受けるようになった。
その生徒自体はいじめを気にも留めていないのだが高柳はここだけで話すのは勿体ないと”個人主義””全体主義”に別れ倫理での意見交換(ディベート)を持ちかける。
という話なのですがなんか最終話のような雰囲気でした。

題名の回収が完璧ですね。
世界を変えたいのなら自分を変えろという分を超えた思考にはなりませんが、現状の環境を変えたいのなら今の自分を変えなくてはいけないとは常々感じます。
人を変えるのは難題ですし不可能かもしれません、しかし自分が変わるのは自分次第で可能ですからね。

「知らないでその結果ならよくない。知ってその結果ならそれが正しい。」
この漫画の何が好きなのかが分かった気がします。
それは考えたことのないことを考えさせてくれる機会を与えてくれるからです。
答えは乗っていません。まさしく知ってこの結果ならそれが正しいという事なのでしょう。
生徒たちが卒業してしまい、4巻は全体の雰囲気的に最終巻のような感じですが、まだ続くようです。
5巻も楽しみですね。
哲学者の名言
倫理の先生ですから当然哲学者についても詳しい高柳。
生徒を諭すシーンなどで哲学者の言葉を借りることが多いのですが、これがなかなか心に響く。
僕は正直いって哲学への理解は低いですし、答えのない難解なものだと思っていました。
しかし、この漫画は哲学者の言葉の本質をストーリーで見せてくれるので少し倫理というものを身近に感じることができます。
上記オムニバス形式でも書きましたがうまくはめ込んでくれているのです。
この漫画!どんな人に読んでほしい?
-倫理は-学ばなくても将来困ることはほぼ無い学問です
地理や歴史の様に生活する上で触れることは多くないし 数学の様な汎用性も英語のような実用性もありません
この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼ無い この知識が役に立つ場面があるとすれば死が近づいたときとか
倫理は主に自分がひとりぼっちの時に使う 信じられるものがなくなった時
死が目前に迫った時 人は宗教による救いを求める”宗教とは何か”
人間関係がうまくいかない他人を羨んで妬んでうまく生きる事が出来ない”より良い生き方を考える”
悩みが絶えず苦しい…憂鬱…私は何の為に生きている?昔の哲学者たちは生涯をかけ悩み続けた”幸せとは何か”
「男はこうあるべき」とか「女はこうしなきゃダメ」とか…そんなこと誰が決めた?”ジェンダーについて”
「死にたい…」”いのちとは何か”
どうですか 別に知らなくてもいいけれど 知っていたほうがいい気はしませんか
ここは今から論理です。:1巻より

これは序盤の導入部にあたるシーンでの、高柳のセリフ。
上記引用を読んで、倫理って何だろう?面白そうなテーマだなと思った方は読んで損はないでしょうし、上記に書かれてる悩みを持った方がいるとしたら読むべきだと思います。
今すぐに役に立たないとしても、こういう考え方があるんだなというのを知っていればいつか役に立つかもしれません。
漫画という入りやすいツールで、どこか小難しい印象のある倫理という言葉に、まずは触れてみるのもいいのではないでしょうか。
この漫画後々ドラマ化されますよ。そんな予感がします(適当)
何はともあれ、3巻の引きがすごくいいところで終わったので、どうなるのか続きが気になります。久しぶりに待ち遠しい漫画が現れました。では