カチピンです。
少し前の前のことになります。
岐阜県恵那市の山の中、趣味である外岩ボルダリングに勤しんでいる時のことです。
ふらふらと一匹の虫がコンビニのビニール袋に止まりました。
よくよく見てみるとその虫の背中にはくっきりとハートのマークがあるじゃないですか。
更によくよく見てみるとこの虫の正体はパクチー臭で有名なカメムシではないか。
残念ながら、あまりパクチーは得意ではないので必然的にカメムシも好きな昆虫ではありません。
しかしハートマークを背負うこのカメムシ。
僕にはなんだか幸運なものに見えたのです。
例えば今必死にムーブを組み立てている皇帝ペンギン。
これは明らかな勝利演出なのではないのだろうかと。
エサキモンキツノカメムシとは
体長は10~13mmほど。
この長くかっこいい名前の由来は
エサキ⇒日本の昆虫学者である江崎悌三から
モンキ⇒黄色い紋、背中のハートマークから
ツノカメムシ⇒ツノカメムシ科に属しているため
名前を漢字表記すると『江崎紋黄角亀虫』になります。
どこかの戦国武将みたいですね。
男心がくすぐられます。
最大の特徴は名前にもある※小楯板(しょうじゅんばん)にある黄白色のハートマークでしょう。
小楯板=翅(はね)をもっている昆虫の中胸・後胸にあるまえばねの間のV字形をした部分のこと
その風貌から従来ファンも多く、幸せを呼ぶカメムシとも呼ばれることがあります。
またもう一つ別名があり『子育てをするカメムシ』とも呼ばれているのですよ。
エサキモンキツノカメムシのメスは、卵を産卵すると子供が卵から孵化(ふか)するまでの間ずっと卵に覆いかぶさってその卵を保護します。
卵だけではなく、孵化した幼虫が※二齢を迎えるまでは守り続ける習性があります。
※二齢=孵化直後の幼虫を一齢幼虫、一回目の脱皮後の幼虫を二齢幼虫などという。
母性本能とでもいうのでしょうか。
どの世界でも母は強く優しいのですね。
まったくオスは何をしているのか、エサキモンキツノカメムシのオスにはガッカリです。
他にもヒメツノカメムシ・オオツノカメムシなども産んだ卵を守る習性がみられますがエサキモンキツノカメムシと同じく守るのはメスのみ。
まったくカメムシのオスにはガッカリです。
他にもエサキモンキツノカメムシとそっくりなモンキツノカメムシがいます。
こちらのカメムシは小楯版にある黄白色のマークがハート型ではなく半月型、もしくは三角形に近い形になります。
それでも判別が難しい場合は触角を見てみるといいでしょう。
触角第1節と2節がほぼ同長ならエサキモンキツノカメムシ。
第2節の方が長いのであればモンキツノカメムシです。
ツノカメムシ科はどういった特徴があるのか?
ツノカメムシ科の最大の特徴は胸の両端に突起があります。
肩が角状に尖っているんですね。
これがツノカメムシと言われる所以でしょう。
しかしツノカメムシ科の中には肩がほとんど尖っていない種類もあります。
逆に普通のカメムシ科の中にもクチブトカメムシ類の様に尖った肩を持つグループもいます。
ツノカメムシという名称であるのにもかかわらず、角の有無だけではツノカメムシ科の証拠にはならないのです。
それじゃあ、なにがツノカメムシでなにがそれ以外のカメムシなのかわからないじゃないかとお思いのあなたに吉報です。
角があり※跗節(ふせつ)が2節のものはツノカメムシ科で間違いありません。
跗節(ふせつ)=跗節は種類によって1節から5節に別れています。
他科のカメムシはほぼ全て跗節は3節になります。
ただ例外もありノコギリカメムシだけはツノカメムシと同じ2節になるのですが見分けは簡単。
ギザギザとした見た目、ノコギリがさびたような色合いとかなり特徴のあるので悩むことはないでしょう。
エサキモンキツノカメムシとはどこで出会えるのか?
エサキモンキツノカメムシは樹上生活者でハゼノキ・ミズキ・コシアブラ・ウド・カラスザンショウ・ケンポナシ・フサザクラ・アカシデ・ヤマウルシ・ヌルデなどの多くの樹木の裏側でみる事ができます。
中でも最もよく見られるのはミズキだそう。
成虫の出現期は5~10月頃で低地から山地に生息しています。
エサキモンキツノカメムシは昼行性であり、僕ら人間にとって比較的遭遇率の高い見つけやすいカメムシです。
自然公園などではミズキやクマノミズキの花を目当てに探すと見つけやすいですよ。
奥深いカメムシの世界
僕自身カメムシへのイメージはパクチーの化身というマイナスイメージでした。
カメムシだって好きで激臭を放っているわけではありません。
それは自分の身を守るためなのです。
中にはオオクモヘリカメムシといった『青リンゴのような匂い』と表現されるカメムシも存在します。
カメムシといっても色々な種類、特徴があり面白いですね。
そしてカメムシ=臭いというのはすこし短絡的な考えなのかなと感じました。
外岩へ行き、山に入ると色々な虫に出会います。
それは日常生活ではあまり体験できない出会いも含まれています。
岩を登りに来ているわけですから岩がメインになるのは至極当然なことですが、すこし視野を広げるとあなたにとってもっと外岩が楽しくなるかもしれませんね。では
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